脂肪肝とは
脂肪肝とは、肝臓の脂肪化が進んでいる状態のことです。肝硬変や肝細胞がんのリスクが高くなることはもちろん、狭心症や心筋梗塞の合併症を発症しやすくなる恐れがあります。日本では3人に1人が脂肪肝とされているため、早期に適切な治療を受けることが大切です。
疲れやすい、肩がこる、脂肪肝の症状
脂肪肝によって血液がドロドロになると、血流が滞るため、全身の細胞に酸素と栄養分が届きにくくなります。倦怠感や頭がボーッとする、肩がこるといった自覚症状がある方は注意が必要です。
脂肪肝でお腹が出る?見た目の変化は?
脂肪肝は、肝臓に過剰な脂肪が蓄積する病気で、放置すると肝硬変や肝がんへ進行するリスクがあります。では、脂肪肝によって「お腹が出る」ような見た目の変化が起こるのでしょうか?
脂肪肝そのものではお腹が出ない
脂肪肝自体が直接お腹を膨らませるわけではありません。肝臓に脂肪が溜まっても、それだけでお腹がぽっこりと出るわけではなく、肝臓自体の腫れが目に見えるほど大きくなることは少ないです。しかし、脂肪肝の背景には、内臓脂肪の蓄積が関係していることが多く、これが「お腹が出る」原因となります。
内臓脂肪との関連
脂肪肝は、肥満やメタボリックシンドロームと深く関連しています。特に内臓脂肪が多い人は、肝臓にも脂肪が溜まりやすく、脂肪肝になりやすいです。内臓脂肪が多いと、お腹周りに脂肪が蓄積し、お腹がぽっこりと目立つようになります。
進行した場合の肝臓肥大
脂肪肝が進行し、肝炎や肝硬変に進展した場合、肝臓が大きく腫れることがあります。これは「肝腫大」と呼ばれ、お腹が膨らんで見える原因の一つとなることがあります。ただし、この段階では他にも腹水がたまるなど、健康状態に重大な問題が生じています。
改善策
脂肪肝と内臓脂肪の蓄積を防ぐためには、食生活の改善と適度な運動が重要です。カロリーコントロールや脂肪分の少ない食事、定期的な運動により、内臓脂肪を減らすことで、脂肪肝の改善とともに、お腹周りもすっきりすることが期待できます。
脂肪肝の原因
脂肪肝は、生活習慣の乱れが原因になりやすい疾患です。
日頃から糖質や脂質を多く含む食事を食べ過ぎると、皮下脂肪はもちろん、内臓脂肪も蓄積されていきます。
肥満
脂肪をエネルギーに変えるには、インスリンを分泌する必要があります。
肥満状態になるとインスリンが正常に機能しなくなるため、肝臓に脂肪が溜まりやすくなります。
アルコールの過剰摂取
アルコール類の飲み過ぎは、肝臓に中性脂肪をためる原因になります。
アルコールが分解される時に、肝細胞の中で脂肪の入れ替わりがスムーズにできなくなり、中性脂肪が合成されやすくなります。
無理なダイエット
極端な食事制限をすると、筋肉量が減少します。基礎代謝が落ちてしまい、低栄養性脂肪肝とよばれる肝臓に脂肪が溜まりやすい状況を作ってしまいます。
糖尿病、脂質異常症
飲みすぎや糖尿病、脂質異常症などの原因があれば、脂肪肝を発症しやすくなります。
その他、ホルモン異常がインスリン抵抗性や脂質代謝に影響するため、脂肪肝のリスクを高めることがあります。
お酒を飲まないのに脂肪肝?
日本人の脂肪肝の原因は、アルコール類の飲み過ぎではなく、食べ過ぎによるものです。これを非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼びます。
症状が軽く改善しやすい単純性脂肪肝(NAFL)と重症タイプの非アルコール性脂肪肝炎(NASH)があります。NASHは放置すると、肝硬変や肝細胞がんに進行します。
脂肪肝の検査
血液検査の結果で、AST(GOT)やALT(GPT)が基準値を超えている場合は、脂肪肝もしくは脂肪肝の予備群が疑われます。
エコー検査で肝臓の状態を確認し、脂肪肝の有無や状態を調べます。全体に中性脂肪がたまっているケース以外に、一定の箇所にだけ中性脂肪が蓄積しているケースも増えてきています。
脂肪肝を改善する食事や運動
脂肪肝は症状が現れにくいため、放置してしまうことの多い疾患の一つです。
肝炎や肝硬変、肝がんへと進行する可能性がある疾患でもあるため、定期的な検査を受けるようにしましょう。
食事療法
脂肪肝のための食生活改善は、糖質摂取量に気を配りましょう。日常的に糖質を摂り過ぎていると、脂肪肝になりやすいことが判明しています。
特に果物の果糖は吸収がよく、中性脂肪になりやすいため注意が必要です。
運動療法
脂肪を燃えやすくするには、筋肉をつけることが大切です。軽い筋トレは、肝機能の改善に繋がり、基礎代謝の向上にも役立ちます。
無理のない範囲で行う有酸素運動は、体質改善に効果的です。ジョギングや水泳、サイクリングなどからスタートするのがおすすめです。