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胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍、十二指腸潰瘍について

胃潰瘍、十二指腸潰瘍について胃・十二指腸の潰瘍は、粘膜がただれる病気で、おなかの痛みや消化不良などの症状を引き起こします。
過度な飲酒、喫煙、ストレス、ピロリ菌感染、薬の副作用が原因と考えられ、内服治療や食生活の改善によって改善・完治が見込めます。
岩手県盛岡市の小坂内科消化器科クリニックでは、胃カメラ検査やバリウム検査をはじめ、原因別の治療も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違い

主な違いは、痛みが現れるタイミングにあります。

胃潰瘍

食後3~4時間後に痛み出し、食事量が多いと痛みが長引く特徴があります。

十二指腸潰瘍

夜間や就寝中など空腹時に腹部が痛み、食後は軽快する傾向があります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状

潰瘍が生じる部位は異なりますが、症状は共通していることが多いです。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状
  • 空腹時にみぞおちが痛む
  • 口や喉に酸っぱいものが込み上げる
  • げっぷが頻回に出る
  • 黒色便、血が混じった便、吐血がある
  • 吐き気

など

めまいや動悸、発熱を伴う腹痛がある場合は、重篤化している可能性があるため、お早めの受診をおすすめします。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因

ピロリ菌感染

最も一般的な原因の一つです。このピロリ菌が胃の内壁に感染すると、胃酸によるダメージを受けやすくなり、潰瘍が形成されることがあります。

詳しくはこちら

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

例えば、イブプロフェンやアスピリンなどのNSAIDsは、胃の粘膜を保護するプロスタグランジンの生成を抑えるため、胃潰瘍のリスクを高めます。

胃潰瘍の特有の原因

ストレス

精神的なストレスが胃の粘膜に影響を与え、潰瘍の形成を促すことがあります。ストレスによる胃酸分泌の増加や、胃の動きの異常が関連しています。

喫煙や飲酒

喫煙は胃の血流を減少させ、粘膜の保護能力を低下させるため、潰瘍のリスクが高まります。

十二指腸潰瘍の特有の原因

胃酸分泌の過剰

胃酸が過剰に分泌されることが、十二指腸潰瘍の一因とされています。

消化管の運動異常

食物が胃から十二指腸に移動する速度が遅いと、胃酸の影響を受けやすくなり、潰瘍のリスクが増加します。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の検査

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の検査胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、バリウム検査と胃カメラ検査で調べることが可能です。しかし造影剤を使用するバリウム検査では、胃の状態をレントゲン画像として確認できますが、ピロリ菌検査を同時に行うことができません。
胃カメラ検査は、胃や十二指腸を直接観察するだけでなく、同時にピロリ菌検査と病理検査を行えます。これらの検査から確定診断に繋がることもあり、近年は胃カメラ検査が主流となっています。

胃カメラ検査についてはこちら

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療

主に薬物療法、ピロリ菌除菌治療、食事療法を行います。例えば、薬物療法においては胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬を使用します。
また治療中は、消化管への負担を減らすための工夫として、食事療法に取り組んでいただくことをおすすめしております。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の食事

刺激の強い食品は控える

特に以下の飲み物、香辛料、香味野菜は胃への刺激が強く、腹痛を引き起こすことがあるため避けましょう。

  • 空腹時のコーヒー、紅茶、炭酸飲料
  • 唐辛子、わさび、胡椒、にんにく
  • 紫蘇、にら、みょう

など

薄味を心がける

塩分を多く含む漬物、塩辛、干物、酢の物は食べる量を少なく調節し、食材の味を楽しめるような薄味を心がけましょう。

消化をしやすい調理方法

おすすめの調理方法は、蒸す、煮る、食材を細かく刻むなどです。例えば根菜・海藻類・蓮根・たけのこ・きのこ類・こんにゃく類といった食物繊維が豊富な食材は、こうした調理方法によって消化の負担を最小限にしつつ栄養も摂れるようになります。

必要な食事量と栄養を摂る

食事量は腹7分目を心がけ、食欲が乏しい時は食べられる時に間食で栄養を補いましょう。特に、たんぱく質は消化管の粘膜を構成するために必要な栄養素ですので、魚・卵・豆腐・脂肪の少ない肉のいずれかを毎食1品摂ることをおすすめします。また胃酸を中和させる働きを持つ水・白湯・牛乳も効果的です。

食べ方の工夫

早食いや噛まずに飲み込むと消化の負担が増してしまうため、よく噛んで小さくしてから飲み込むよう心がけましょう。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍が治るまでの期間

胃潰瘍や十二指腸潰瘍が治るまでの期間は、潰瘍の大きさや重症度、治療法、個人の体質などによって異なりますが、一般的には以下の通りです。

胃潰瘍の治癒期間

通常の治療期間

胃潰瘍の場合、治療を開始してから約6〜8週間で多くの潰瘍が治癒します。

軽度な場合

軽度の胃潰瘍であれば、適切な治療を受けることで4〜6週間で治ることもあります。

重症の場合

潰瘍が深かったり、大きかったりする場合や、治療の効果が遅い場合は、8週間以上かかることもあります。

十二指腸潰瘍の治癒期間

通常の治療期間

十二指腸潰瘍は胃潰瘍よりも治りやすく、治療開始後2〜4週間で治ることが多いです。

軽度な場合

軽度の十二指腸潰瘍は、場合によっては2週間程度で治癒することがあります。

よくある質問

胃潰瘍を放置すると癌化しますか?

胃潰瘍自体が直接的に癌化することは少ないですが、胃潰瘍と胃がんのリスクを高める共通の原因であるヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染が関連しています。
特に長期間放置された慢性胃潰瘍や萎縮性胃炎が進行することで、胃がんのリスクが増加することがあります。そのため、ピロリ菌の感染が確認された場合は除菌治療を行い、定期的なフォローアップが重要です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍で禁忌の鎮痛薬はありますか?

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者にとって、禁忌となる鎮痛薬は主に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)です。NSAIDsは、胃や腸の粘膜を刺激し、潰瘍を悪化させたり、新たな潰瘍を引き起こしたりするリスクが高いからです。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者には、アセトアミノフェン(商品名:カロナールなど)が推奨されることが多いです。アセトアミノフェンはNSAIDsとは異なり、胃腸に対する刺激が少ないため、潰瘍患者にも比較的安全に使用できる鎮痛薬です。ただし、医師の指示に従って使用することが重要です。
潰瘍の状態によっては、強力な痛み止めや追加の保護薬が必要になることもあるため、鎮痛薬の使用については必ず医師に相談することをお勧めします。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍で入院は必要ですか?

胃潰瘍や十二指腸潰瘍が軽度の場合、通常は外来での治療が可能です。しかし、以下のような重症例では入院が必要になることがあります。

  • 出血(黒い便や吐血が見られる場合)
  • 穿孔(潰瘍が胃や腸を貫通し、激しい腹痛を伴う)
  • 激しい痛みや薬物療法が効かない場合

これらの症状が現れた場合、緊急処置や静脈点滴、手術が必要になることがあります。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍で死亡することはありますか?

胃潰瘍や十二指腸潰瘍そのものが直接的に死に至ることは稀ですが、重大な合併症(出血、穿孔、腹膜炎など)により、適切な治療が行われない場合には命に関わることがあります。特に高齢者や基礎疾患を持つ患者は、合併症が重篤化しやすいため、早期の診断と治療が重要です。

十二指腸潰瘍になると痩せますか?

十二指腸潰瘍がある場合、食事を摂ると痛みが和らぐことが多いため、食事量が増えやすく、痩せることは少ないです。しかし、痛みや不快感で食欲が減退し、長期的に食事がとれない状態が続くと体重が減少する可能性があります。また、重症化した場合や合併症がある場合には体重が減少することがあります。